こんにちは。制作部デザイングループの中山です。
先日、年に一度の国内最大級のデザインカンファレンス「Designship 2025」に参加してきました!
私自身、デザイナーになってから初めて外の世界に飛び出し、緊張とわくわくの1日を過ごしました。
今日は私の学びをお届けします。

目次
Designshipとは
Designship(デザインシップ)は、「広がりすぎたデザインを、接続する」をメインコンセプトに掲げ、年に一度開催される日本最大級のデザインカンファレンスです。
UI/UX、プロダクト、サービス、組織、空間など、デザインの領域が広がり続ける現代において、国内外の第一線で活躍するプロフェッショナルが一堂に会します。2日間にわたり、約80にも及ぶセッションを通じて最先端の知見や実践事例、そしてデザイナー個々のリアルな「物語」が共有されます。
参加者一人ひとりが、自身のデザインを再定義し、領域を越えた新たなつながりや発見、そして未来への活力を得ることを目的とした、デザインの祭典です。

参加した理由
現在、地方でデザイナーとして働いていることもあり、残念ながら他の企業のデザイナーと交流する機会がほとんどありません。まだ経験も浅い私は、「他の会社では一体どんな課題に直面し、どんなことを考えてデザインに取り組んでいるのだろうか?」という疑問を持っていました。
今回の目的は、単に最新トレンドを学ぶことだけではなく、普段聞くことのできない「他の会社ではデザイナーがどんな役割を担い、どんな哲学を持って仕事に臨んでいるのか」という「個々の物語」に触れることで、デザインとの向き合い方を深く掘り下げたいという思いがありました。
参加セッションの紹介
私は2日目に参加しました。
管理なき組織が機能する──自律型デザインチームの設計図
デザイナーの自律性を最大限に引き出し、組織のパフォーマンスを高めるための「管理をしない組織」の構造というテーマで、メンバー一人ひとりがオーナーシップを持つチームの設計図、評価や情報共有の仕組みについての紹介でした。
挑戦を支える文化が拓く、介護・障害福祉領域におけるコミュニケーションデザインの実践と学び
解決が難しいとされる介護・障害福祉領域において、「デザイン」がいかに課題解決と関係者間のコミュニケーション改善に貢献できるか、というテーマで、失敗を恐れずに挑戦し続けられる組織文化の重要性と、その文化をデザインがどのように育んでいるのかという実践的な実例の紹介でした。
慣習と革新の乳化を目論むデザイン - 飲食店DX編
変化が難しいとされる飲食業界の「慣習」と最新のテクノロジーによる「革新」を、いかに衝突させることなく融合(乳化)させるかというテーマで、単に新しいツールを導入するだけでなく、長年培われた現場の価値観を尊重しながら、デザイナーが両者の間に立ち、滑らかな変革を促す役割についての紹介でした。
「らしさ」を言語化するDesign Styleの試み
企業やプロダクトが持つ「らしさ」や世界観を、デザインのスタイルガイドとして形式知化・言語化するための具体的なプロセスの紹介でした。
技術で社会課題に挑む。イノベーションを生むビジネスデザイン
最先端のテクノロジー(技術)を単なる機能として使うのではなく、社会が抱える大きな課題を解決するイノベーションへと昇華させるための、デザイナーの役割についての紹介でした。
AI時代のデザイナーの葛藤と向き合い方
生成AIの進化によって、デザイナーの仕事が急速に変化する中で、プロのデザイナーが実際に抱えている「葛藤」と、それに対する向き合い方を共有するディスカッションでした。
地方でデザインを仕事にするということ
地理的なハンディキャップを乗り越え、地域の特性を活かしたデザインの価値創造、そして外部とのつながりをいかに構築していくかという具体的なノウハウの紹介でした。
作品を盛れない僕が掲げた、ポートフォリオ不要宣言
最終成果物よりも、課題設定のプロセスや、意思決定の背景、チームへの貢献度といった「デザインの力学」をどう伝えるかという、採用や評価における新しい視点の紹介でした。
ビジネス貢献に向けたデザイン
デザインを単なる「見た目」ではなく、企業の成長や利益に直結する「ビジネス貢献」のツールとして位置づける方法についてのディスカッションでした。
3つのセッションをピックアップ
私が参加したセッションの中から特に印象に残っているセッションを3つ、詳しくご紹介します。
AI時代のデザイナーの葛藤と向き合い方生成AIの進化は、デザイナーにとって「脅威」でもあり「機会」でもあります。本セッションでは、最前線のデザイナーたちが、AIを導入する上でのリアルな葛藤と、どのように向き合っているかを共有してくれました。
印象的だったのは、
「AIツールを使う人の想像力範囲でしかアウトプットを出せない」
「AIを使うには何が正解なのかを言語化する力が必要」
という指摘です。
AIが素晴らしいアウトプットを瞬時に出すからこそ、
- 「本当にそのアウトプットが顧客の求めるものか?」を見極める高度な知識と判断力。
- 「なぜこのデザインが良いのか」を論理的に説明できる言語化力。
- 「言語化できない細かいニュアンス」にこだわり抜き、その先の一歩先のところまで考える情熱と感性。
といった、デザイナーとしての本質的な能力が、むしろこれまで以上に問われる時代になったと痛感しました。
「AIに壁を感じる前に使い始めるべき」といった言葉も印象に残っていて、私もテキスト校正、コードなどはAIを使っていても、画像生成などは本当に触りくらいの活用しかできていないなあと思ったので、これから研究の対象にしたいと思いました。
さまざまなAIを使い倒して、性格を見極め、プロンプト経験値を高めていく必要がありそうです。
地方でデザインを仕事にするということ地方で働く私にとって、最も個人的な課題と向き合えたセッションです。地方でのデザインの仕事は「デザインの価値そのものを理解してもらう」ことから始まるという、現実的な課題と、それを乗り越える具体的な実践例を知ることができました。
特に心に響いたのは、「顧客や地域の方々と共にデザインの価値を高め、その必要性を浸透させていく」という考え方です。
登壇者は、地方特有の山や自然を絡めてセルフブランディングを行い、「デザインができるガイド」から「ガイドができるデザイナー」という地位を確立することで、その分野のプロジェクトが集まってくる仕組みを作っていました。
このセッションから、単に外部のデザイナーとの交流を求めるだけでなく、「地域とつながり、その地域でデザインの価値を創造していく」ことの重要性を学びました。
ビジネス貢献に向けたデザイン「デザインをするだけがデザイナーじゃない」という言葉が特に印象に残ったセッションでした。
デザインの役割が広がっている今、単に「良いものを作る」だけでなく、ビジネスにどう貢献できるかまで考えることが求められています。
「経営に貢献するためには、デザイン以外での提案も大切」という話を聞き、これまで自分がデザインの“その先”まで考えきれていなかったことに気づかされました。
今後は、営業や企画など他部署と協力しながら課題を見つけ、デザインを通して事業全体の成長に貢献できるデザイナーを目指したいです。
まとめ
今回のDesignship 2025は、地方で働き、外部との交流が少なかった私にとって、デザインの広がりと可能性を全身で体感する、貴重な機会となりました。
ノベルティなども、各社こだわりのものを揃えていてとても刺激になりました!

AIやツールの進化といった表面的な部分にとらわれず、デザイナーとしての本質的な向き合い方、考え方への具体的なヒントを得ることができました。そして、デザインがいかに事業の中核に関わっているのかを改めて学び直すことができました。
今回の新たな知見を活かし、デザインで事業に貢献できるよう、研鑽を積んて参ります。
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