2008年05月07日
Retail is detail.
もう14年も前のことです。私は、旧あさひ銀行のディーリング研修生として1994年にシカゴのCBOTとCMEに研修へ行く機会に恵まれました。この経験は、人生にとって計り知れない影響を与えてくれました。当時の銀行の制度と推薦をして下さった当時の上司には心の底より感謝をしています。
シカゴでは、もう一つ人生を変えるきっかけとなった経験が有りました。それはCBOTの手前2ブロックほどのところ、S Lasalle Stを東にちょっと入ったところに有ったスターバックスコーヒーとの出会いでした。いつかは小売業で独立したいと考えていた私は、当時スターバックスの店が醸し出す独特の価値観の虜となり、脱サラをする前には、是非スターバックスで修行をしようと考えるようになりました。恐らく日本に進出してくるだろうから、そのタイミングで。
1996年夏、スターバックスコーヒージャパンは、東京銀座に日本1号店を出店しました。この時私はシンガポールにおり、日本経済新聞のシンガポール版でこの事実を知りました。早速日本における責任者の名前を日本にいる友人に調べてもらい、初代社長に雇って頂けるよう手紙を書きました。
社長の秘書から「直ぐに会いたい」という手紙が返ってきて、しばらくして土日を利用してこっそり東京に帰国し、社長と会いました。その際の先方の希望は、財務の責任者としてのポジション。こちらとしては、小売業を一から勉強したいわけなので、財務責任者では今までの仕事とあまり変わらないことになってしまいます。
社長:「あなたの興味は、財務では無かったのですか?」
私:「ええ。小売業を末端から、1人の店員からスタートしたいです。」
社長:「君の年齢や経験は殆ど活かされないわけです。従って、平社員としての給与しか払えません。」
「しかしなぁ.....」
これが第1回目の面接の内容でした。
その後2回の週末帰国で面接をし、手紙も4度ほどやり取りしましたでしょうか。
1998年春、電話で連絡が来ました。
「関西1号店を年末に開店する予定があります。そんなに現場がやりたいのであれば、この1号店のストアマネジャーをお任せすることを前提として当社に入社しますか?あなたには小売業としての経験は無いが、あなたの基礎能力を評価して、店舗運営部課長待遇ということでいかがでしょうか?」
※スターバックスコーヒージャパンのサイトに日本での沿革が掲載されていますョ。
ありがたいお話を頂きました。そうは言っても銀行に居たときに比べると年収は45%ダウンでした。
1998年7月から、東京の六本木や日比谷等の繁忙店での研修を受け、厳しい4ヶ月を過ごしました。そんな中、社長からディナーのお誘いを頂き、ご一緒させて頂きました。そこで言われたのがこれ。
「Retail is detail. 」
この言葉、強烈に身に染みてます。ええ今でも。と言いますか、年を重ねるほど益々です。小売業は細かいことの積み重ね。細かい気遣いが出来なきゃ小売業では無いのです。
シーエムエーを設立して間も無く8年となります。「あそこが足らなかったな、こう対応しておけば良かったな、どうして社員のA君はあそこに気が付かなかったのかな、どうすればもっとこの哲学を社内に浸透させられるのかな.........。」頭の中に次々と改善するべき出来事が発生します。それは経営者の宿命でしょう。しかも私は創業者なんだから。コツコツやるしかないのです。ひょっとすると、私の一番大切な仕事なのかも知れません。
今朝、リテールバンクを標榜する某銀行の支店に行きました。壁の複数箇所に支店の責任者の写真とコメント、そして名前が貼り出されていました。写真と名前とコメントは、それぞれ別の紙に印刷されたもので、それぞれを切り貼りして1枚のポスターのように仕上げてあるものでした。それぞれを切った大きさや形がバラバラ乱雑で、しかも各縁に平行に貼られていないので、それはあたかも子供の貼り絵状態。どう見ても、上から嫌々やらされた感が満載。
少なくても支店ロービーでこれを目にした人は、この銀行のあらゆる分野でのレベルを疑うでしょう。
「Retail is detail. 」
投稿者 島上 : 2008年05月07日 12:29
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